糖尿病網膜症とは〜

糖尿病は自覚症状の少ない病気ですが、多くの合併症があります。
最も注意しなくてはいけない中のひとつに、糖尿病性網膜症があります。
自覚症状がないため、発症になかなか気がつきませんが、網膜が腫れたり、硝子体の中にまで出血すると、視力の低下として自覚されます。
そのまま放置すると、網膜にある血管が破綻して出血し、場合によっては社会的失明に至ります。
日本の中途失明原因の第二位は、この糖尿病性網膜症です。網膜の異常は眼底検査で発見ができるため、定期的な検査を行う必要があります。
きちんと治療をすれば進行は抑えられますので、眼底検査を忘れないようにしましょう。

〜原因について

糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの量が不足したり、働きが悪くなったりして起こります。
インスリンは、食事から得たブドウ糖を全身の細胞に取り込み、活用させる際に必要なホルモンです。
その作用が低下すると、血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれなくなり、高血糖の状態が続きます。
高血糖状態の血液は、全身にさまざまな障害を起こします。
網膜の血管で障害が起こったものが糖尿病網膜症で、糖尿病腎症、糖尿病神経障害とともに糖尿病三大合併症の一つとなっています。
糖尿病網膜症は、糖尿病患者の約40%に見られます。

糖尿病3大合併症

  • 糖尿病網膜症
  • 糖尿病性腎症
  • 糖尿病性神経症

糖尿病網膜症の分類

  • 単純網膜症

糖尿病になって10年くらい経つと、糖尿病のコントロールの具合によっては、目の中の網膜に、毛細血管瘤や点状及び斑状の出血や硬性白斑、軟性白斑などが出現してきます。まだこの時期には、自覚症状に乏しく患者さんご本人が、ご自分で判断する事はできません。
また、糖尿病性網膜症でも特殊なタイプの方は、
眼底周辺部の血管の閉塞や点状出血からはじまる事があり、
この場合は、内科で眼底写真を撮っていて写真では大丈夫でも、
本当は網膜出血が隠れていたという事になります。

  • 前増殖網膜症

糖尿病になって期間が長くなったり、コントロールの状況がよくないと、
 網膜血管の閉塞が強くなってきます。
この結果、網膜に酸素や栄養が十分に供給されなくなるために、
網膜の機能が低下してきます。
眼底検査をした際に軟性白斑と呼ばれる、
見ためがふんわりと柔らかい感じのする白斑がみられると、
この虚血が起こっていると推測されます。虚血が起こっているかどうか、
そしてどのくらいの範囲に虚血が起こっているのかを判断するためには、
蛍光色素や特殊な薬品を用いて眼底造影検査を行います。
但し、全身状態の悪い方や、腎機能の悪い方、これらの薬剤に
アレルギー反応を示す方などでは、この造影検査ができない場合があります。

  • 増殖性網膜症

増殖網膜症に進むと、網膜から硝子体に向かって新生血管が伸びてきます。
やっつけ仕事で作られた新生血管が破れると、硝子体出血が起こります。
また、硝子体に繊維性の膜が出来て来ます。
これを増殖膜と言って厄介な膜です。その膜は眼内で収縮したりして、
健康な網膜を引っ張ると網膜剥離が発生します。
症状は、最も視力に関係する黄斑部に、どれだけ血管の異常が出たかによって決まります。黄斑部が侵されていなければ、たとえ増殖網膜症であっても無症状の事もあります。
しかしながら症状が重くになるにつれて、一般的には自覚症状が現れます。

〜日常生活で注意すること

糖尿病網膜症の予防は、血糖コントロールが基本です。
初期の単純糖尿病網膜症の段階を過ぎてしまうと、治療しても網膜の状態はほぼ元に戻りません。
現状を維持すること、進行を止めること、再燃を防ぐことが治療の目標になります。

  • 食品交換表を活用し、バランスよく食べる。
  • お酒とタバコは努めて控えめにする。
  • 内科・眼科で定期的に検査を受ける。

〜治療法について

糖尿病網膜症の治療の基本は、糖尿病の治療と同様、血糖コントロールです。
網膜の状態に応じて、お薬による治療、レーザー光線によるレーザー光凝固術(網膜光凝固術)、硝子体手術などを行います。

  • 血糖コントロール

初期の単純糖尿病網膜症の段階であれば、血糖コントロールをしっかり行うことで網膜症の進行を食い止めることができます。
そのため定期検査や早めの受診が重要になります。

  • レーザー光凝固術(網膜光凝固術)

網膜にレーザーを照射する治療方法です。
レーザーを照射して、網膜内に異常に発生した新生血管を減らしたり、
出血等の治療を行います。
また、新生血管の発生を予防することも目的の1つです。
進行具合により、レーザーの照射回数や照射の範囲は異なります。

  • 治療の流れ
  • 点眼薬で瞳孔を開かせます。
  • 専用のコンタクトレンズを装用し、病変部にレーザーを照射します。
  • 治療後の眼底の状態を確認し、帰宅となります。
  • 硝子体手術

レーザー治療で進行を防げなかった時や網膜剥離、硝子体出血が起こった時に行われるのが、硝子体手術です。
眼球に2つまたは3つの小さな穴を開け専用の器具を挿入し、濁った硝子体を切除します。

  • 治療の流れ
  • 眼球に小さな穴を2~3ヶ所開けます。
  • 硝子体を切除して透明な液体に置き換えます。
  • 網膜の処置を行います。
  • 透明な水や気体、オイルに置き換えます。

〜費用について

費用については治療ごとに異なりますので、詳細については窓口でお問い合わせください。

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